それが一番の問題

主に読書の記録。音楽と文具も好きです。

分福茶釜 細野晴臣

分福茶釜


細野さんのことは好き。この本のことも超好き。
不思議と、自分と通じることが多い人なのだと思う。
昔の東京人の風習というか雰囲気、価値観を感じるのかも知れない。
そう思っていた。

この本を読んで、東京人以上の近さがあるのだとわかった。
精神性のようなものが。

以下、メモしたこと。
抜粋と僕の言葉に変換したものが混在している。

目次の前
世間的には「ブレない」は良いこととされている。でも細野さんは好きではない。ブレないと中庸というか、どこが真ん中なのかがわからないから。

P20
人は未来が見えなくなると過去にこだわるようになる。
そこには蘊蓄(ウンチク)の塊があるから、それを身につければわりと重厚な人になれる。
→軽快ではないけどね。細野さんは過去とは関係がない。未来があるから。

P22
伝統(先人)というか自分より前にあったものを広げること。
物理学では、アインシュタインが方程式を発見して、後世の人がそれを展開した。自分より前にあったものを引用しないことには、その先を進めない。音楽もそれに近い。絶えず前のものを引用しながら枠を広げていく。特にポップスを作るとき。今使っている方程式を展開した先に、まだ見つかっていない方程式があるはず。
→よくわかる。プロには、どこが新しいのか、何がアイディアなのかわかる。素人でいる間に圧倒的な物量を浴びる必要があるのも、先人のことを学ぶため。これがないと、まぐれはあっても、継続は難しい。

P26 シルエット
タイトな上着にだぶだぶのズボン。古いタイプのコメディアン。細野さんが憧れているスタイル。

P29
「悟り」っていうのはひとつの世界ではなくてプロセス。悟りは道。宗教では、川はどこから流れても海に行くっていうような比喩がよく使われる。
……細野さんはお坊さんになろうとも思ったがYMOが売れて、音楽を続けた。今となってはどちらの道にいっても先は一緒になっている。

P44 1940年頃の音楽の良さ
ダイナミックレンジの狭さとかセピア色ではなく、空気をまるごと一本のマイクで録音したこと。空気を切り取ることだから、そこにはすべての情報がまるごと含まれている。宇宙全体の情報が。
今は空気を全部削ぎ落として、「音」だけの情報にしてエコーで処理して空間を作っていくことの空虚さを実感している。

P45 音楽におけるコンセプト
後付け。言い訳。屁理屈。
とにかく音楽の神髄はその場で楽しいこと。
考えてしまうとダメ。細野さんは恋愛に例える。

P46 夢中になること
音楽を作ってる最中は夢中。だから、その後が怖いと細野さんが言う。なぜ、とは言っていないが。
でも、僕も怖いと感じる感覚はわかる。

P47
みんな自信なく、コンセプトを持っている。ものを作る人はだいたいそう。

P48 孤独
モノをつくるには孤独が必要。ダヴィンチも行っている。
「孤独に堪えられない人間はモノは作れない」

P58
定年まで仕事しかしないと、定年後、昔やってきたことしかない。新しい感覚が開いていない。何もやってこなかったから感覚が固まってしまっている。だから過去に戻る。
→今すぐやらないとイケない。

P62
細野晴臣はおばあちゃん子。
→賢い人はそうゆうところがあるよね。

P63
江戸では、おならを「転失気」(てんしき)といった。

P66
細野さんのおじいちゃんはピアノの調教師。
→家系に音楽の人がいた訳だ。母方のおじいちゃん。

P82 煙
霊的なモノと交信しやすくなる。ミディアム。
炎はもともと太陽の「切片」(きれはし)と言われている。
太陽は全ての源。煙草を燃やすのは、太陽に戻ること。
煙はかのような存在。それを排除するのは自然と何かを共有する行為はよくないとすること。。

P90 匂いについて
細野さんは匂いにとてもこだわっていて、音楽と匂いの関係に興味がある。
音楽は視覚よりも嗅覚になるか深く関係がある。

P94 同じものを食べる
細野さんは、動物を見習っている。動物はめったにやたらに知らないものを食べない。
→僕と同じ。うれしい。

P95
細野さんと睡眠
家は帰って寝るだけの場所。今だにソファで寝ている。寝る準備をしないので、失神するみたいに寝るのが好き。そしてふっと起きて、そのままスタジオに行く

P104 猫がゴロゴロいうこと
猫のゴロゴロはドーパミンを出している。自分が癒している。免疫力をあげて病気を防いでいる。
鼻音で発音すると良い。

P112
「本当のことは小さな声でひそひそ語られる」
音楽もそう。大きな声で、たくさんの人に聴かせなくてもい。

P118
細野さんはブリトニー・スピアーズとかを車でフルボリュームで聴くことが好き。音のつくりかた、特に低域の処理に感心する。フルボリュームでも音が割れないし、うるさくない。
→アメリカのポピュラー 音楽の力。すごい奴らが沢山いるんだよ。

P121
祈りは声に出さないと伝わらない。曰くネイティブ・アメリカン。思ってるだけじゃダメ。薬草を摘むときに「これから摘みますよ」と声に出さないと、草花が聞いてくれない。

P123
「愛している」とは言わない。「好きだよ」と言う。「愛している」という言葉は江戸時代には無かった。
……「愛している」と歌うこともしない。それを言わないで伝える。それが大変。

THOUGHTS - 細野さんは昔の感覚。昔の東京の感覚を持っている人なのかな。だから、僕も共感するのかな。

P126〜127 自尊心
自尊人はロクなもんじゃない。嫉妬と結びついている。
人は自尊心を維持するためにエネルギーを使う。
カスタネタが書いた。ドン・ファンいわく、自尊心の維持に力を使いすぎるので、捨ててしまえと言う。自分を充実させる力が残らなくなる。
とはいえ、自尊心を捨てるのは難しい。

ものをつくっているといい。
ものをつくっていないと、自尊心しか力を使うところがなくなってしまう。肩書き、地位、収入など。
ものをつくる。クリエイティブってのは音楽とか絵画とか思われがちだけど違う。生き方。環境意識とかにまでつながっている。

P128
細野さんはクーラーをつけて、窓を開ける。
→そう、それが一番良いと思うね。

P129 大欲 in 仏教
欲を持つなら大欲を。大欲とはつまり世界平和。
大乗仏教ではそう教える。
→ググった。大乗は全ての存在の救済を目指す。一方、小乗は個人の救済を目指す。

P132 - P133
YMOで世に出て……つかれた。人に顔を知られて。
神道とはスピリチュアリズムに首を突っ込んで迷っていた。
50歳の頃にネイティブ・アメリカンの思想に触れて、自分が求めていたものが氷解した。
→やっぱり触れないとな。。ネイティブ・アメリカンの考え方に。。

P150 - P151 生まれつきの好み。遺伝子に決められている。そして出会い
細野さんの場合は、異化作用。自分とは違う女性を求めている。
エキゾティシズムもそこからきている。
人が数珠(じゅず)つなぎになって輪になっている。自分の好きな人の背中を見て、前の人も好きな人の背中を見てる。そうゆう輪になっている。
で、たまに振り返る人がいる。めったにいないけど。。
それを出会いという。

P155 芸事を始める年齢
日本では6歳6ヶ月から始める。
それ以前に聴いたり、行ったりすると吸収しすぎて、しばられることにもなる。3歳からバイオリンを習うとか。バイオリンしかできなくなる。

P157
キャッチボールは好きだが野球をするのは好きではない。
ルールを知らないし、闘争心もない。
→いいなぁ、この感じ。団体行動とか苦手っぽくて。

P170 創造力。モノをつくるということ。
先天的に与えられている創造力は子どもをつくること。
モノをつくる術は先天的には与えられていない。それは一から自分で組み立てていくこと。能動的に。つまり、伝統を学ばなきゃいけない。
「自分的」なものばかり作りたがる人が多いが、自分が編み出したと思っていたリズムも、実は昔からあるものだとわかった。それがわかったときに、モノづくりとは何かが自分を通して過去から未来に通っていくだけ。
つまり、自分がどこにいるかを知ることは、人間にとって大事なこと。自分が未来に何かを残すことよりも。

P170 統合失調症が治る瞬間
「自分がどこにいるかがわかるとき」
いわく高名な精神科の臨床医。そう臨床医が言ってるんだぜ。

P172 自己表現
細野さんい自己表現をしたい欲求は無い。むしろ、ミディアム。つまり媒介という意識が強い。
→同感というか、正しいと思う。